福利厚生

【人事必見】福利厚生見直しの全手順 | 計画から測定までのステップを紹介

【人事必見】福利厚生見直しの全手順 | 計画から測定までのステップを紹介
ふくラボ編集部

利用率の低い制度に毎月コストをかけ続けている、従業員アンケートで福利厚生への不満が目立つ、こうした状況に直面している人事担当者は少なくありません。

福利厚生の見直しは、現状把握から課題の優先順位づけ、改善案の検証、導入後の効果測定まで、5つのステップで計画的に進めることが重要です。

この記事を読み終えるころには、どのタイミングで見直しに着手すべきか、どのような手順で進めれば失敗を避けられるかが明確になり、自社の状況に合わせた福利厚生の見直しを始められるようになっているはずです。

福利厚生の見直しが必要な3つのサインとは?

福利厚生の見直しが必要な3つのサインとは?

福利厚生の見直しが必要なサインは、利用率の低下、従業員の不満、採用・離職率の課題という3つの形で現れます。

社会情勢や働き方の変化により、以前は問題なかった制度でも従業員のニーズを満たせなくなることがあります。

これらのサインを早期に察知することで、従業員満足度の低下を防ぎ、採用力の維持につなげられます。

①利用率が低い制度が放置されている

利用率が低い制度を放置すると、コストだけがかかり続ける状態になります。

具体的には、以下のような状況が見直しのサインです。

サイン 具体例
利用率が10%未満 保養所や会員制施設の年間利用者が全従業員の1割に満たない
申請がゼロの月が続く 書籍購入補助や資格取得支援の申請が3カ月以上ない
特定の層だけが利用 独身寮が一部の若手社員のみで、ファミリー層には無関係

テレワーク制度の普及により、オフィス内の設備やサービスの利用頻度が下がっている場合も、見直しの対象として検討すべきです。

②従業員アンケートで不満が出ている

社内アンケート調査で福利厚生に関する不満が増えている場合、制度と従業員ニーズのミスマッチが起きています。

よくある不満の声には、次のようなものがあります。

  • 在宅勤務制度があるのに通勤手当の支給方法が変わらず不公平感がある
  • 正社員と非正規社員で福利厚生に待遇差があり納得できない
  • メンタルヘルスケアの支援が不足していると感じる
  • フレックスタイム制度や時差通勤の選択肢がなく働きにくい

働き方改革や新しい生活様式の浸透により、従業員が求める福利厚生の内容は変化しています。

定期的なアンケートで声を集め、不満の内容を分析することが見直しの第一歩です。

③採用・離職率に課題を感じている

採用活動で候補者から福利厚生について質問が増えている、または離職理由に待遇への不満が挙がっている場合は、見直しのタイミングだと言えるでしょう。

特に以下のような状況は要注意です。

課題 背景
内定辞退が増えている 他社と比較して福利厚生の魅力が弱いと判断されている
入社3年以内の離職が多い ワークライフバランスを保てる制度が不足している
採用広報で訴求できない 法定福利厚生以外の特徴的な制度がない

人的資本経営が重視される中、福利厚生は採用力と従業員エンゲージメントに直結する要素です。

競合他社の動向も確認しながら、自社の制度を点検しましょう。

見直しを始める前に!現状把握の方法3選

見直しを始める前に!現状把握の方法とは

福利厚生の見直しを始める前には、自社の制度を全てリスト化し、利用実績とコストを数値で整理することが必要です。

現状を正確に把握しないまま改善案を考えても、的外れな施策になる可能性があります。

ここでは、見直しの土台となる現状把握の3つの方法を紹介します。

自社の福利厚生を全てリスト化する

最初に、法定福利厚生と法定外福利厚生を分けて、自社が提供している制度を全て書き出すことことをおすすめします。

リスト化する際は、以下の項目を整理しましょう。

  1. 制度名と内容(誰が、何を、どのように利用できるか)
  2. 対象者の範囲(正社員のみか、非正規社員も含むか)
  3. 導入時期と導入の背景
  4. 担当部署と管理方法

就業規則や社内規程を確認しながら、見落としがないように網羅的にリスト化することが重要です。

特に長年運用している制度は、担当者が変わって詳細が不明になっている場合もあるため、丁寧に調査しましょう。

利用実績とコストを数値で整理する

各制度の利用実績と福利厚生費を数値で整理すると、コストパフォーマンスの低い制度が見えてきます。

整理すべき数値は次の通りです。

項目 確認内容
年間利用者数 制度ごとに何人が何回利用したか
利用率 対象者全体のうち実際に利用した人の割合
年間コスト 制度の運営にかかる総額(外部委託費、施設維持費など)
一人あたりコスト 年間コストを利用者数で割った金額

経費計上の記録を確認し、過去1〜2年分のデータを集めると傾向が分かります。

利用率が低いのに高コストな制度は、見直しの優先候補として検討しましょう。

従業員の声を集める

数値だけでは見えない従業員の本音を知るために、アンケートやヒアリングで声を集めます。

効果的な質問項目には、以下のようなものがあります。

  • 現在の福利厚生で満足している制度はどれか
  • 利用していない制度とその理由は何か
  • 新たに導入してほしい制度はあるか
  • 雇用形態による待遇差をどう感じているか

アンケートは無記名式にすることで、率直な意見を集めやすくなります。

また、年代や職種、雇用形態ごとにニーズが異なる場合があるため、属性別に集計して分析すると、より具体的な課題が見えてきます。

福利厚生見直しの5ステップ

福利厚生見直しの5ステップ

福利厚生の見直しは、課題の優先順位づけから導入スケジュールの決定まで、以下5つのステップで進めるとスムーズに見直しができます。

  1. 課題の優先順位をつける
  2. 見直しの目的を明確にする
  3. 改善案を複数用意する
  4. 予算と実現性を検証する
  5. 導入スケジュールを決める

計画的に進めることで、限られた予算と時間を効果的に使い、従業員満足度の向上につなげられます。

各ステップで何をすべきかを具体的に見ていきましょう。

ステップ1:課題の優先順位をつける

現状把握で見つかった課題に優先順位をつけ、どこから手をつけるかを決めます。

優先順位をつける際の判断軸は以下の通りです。

判断軸 高優先度の例
影響範囲 全従業員が対象の制度、または利用者が多い制度
緊急性 法改正への対応、採用・離職率への影響が大きい課題
コスト効率 高コストで低利用率の制度、削減効果が大きい項目
従業員の不満度 アンケートで不満の声が多かった制度

全ての課題を一度に解決しようとせず、優先度の高いものから段階的に取り組むことが成功のポイントです。

ステップ2:見直しの目的を明確にする

見直しの目的を明確にすることで、施策の方向性がブレなくなります。

目的の例としては、次のようなものがあります。

  • 従業員満足度を向上させ、エンゲージメントを高める
  • コスト削減を実現しながら、満足度を維持する
  • 採用競争力を強化し、優秀な人材を確保する
  • 同一労働同一賃金に対応し、雇用形態による待遇差を解消する
  • リモートワークやテレワーク制度に合わせた制度に刷新する

目的が複数ある場合は、最も重視するものを一つ決めておくと、判断に迷ったときの基準になります。

経営層や人事部門内で目的を共有し、見直しのゴールを合意しておくことが重要です。

ステップ3:改善案を複数用意する

一つの課題に対して、複数の改善案を用意することで、比較検討しやすくなります。

改善案を考える際のパターンは以下の通りです。

  1. 既存制度の廃止または縮小(利用率が低い制度を見直す)
  2. 既存制度の拡充または対象拡大(非正規社員にも適用するなど)
  3. 新制度の導入(在宅勤務制度やメンタルヘルスケアの支援など)
  4. 外部サービスの活用(福利厚生代行サービスの導入)

それぞれの案について、メリット・デメリット、必要な予算、導入時期の目安を整理しましょう。

他社の事例や経団連の調査データなども参考にしながら、自社に合う案を絞り込みます。

ステップ4:予算と実現性を検証する

改善案が現実的に実行可能かを、予算と実現性の両面から検証します。

検証すべきポイントは次の通りです。

検証項目 確認内容
予算 導入・運営コストが予算内に収まるか、削減効果はどれくらいか
人的リソース 制度の管理・運営に必要な人員を確保できるか
システム対応 既存の勤怠管理や給与システムと連携できるか
法的要件 就業規則の変更や労使協定の締結が必要か

予算が限られている場合は、コスト削減と新規導入を組み合わせて収支を調整する方法も検討しましょう。

実現性が低い案は保留し、優先度の高い案から実行に移します。

ステップ5:導入スケジュールを決める

改善案が固まったら、導入スケジュールを具体的に決めます。

スケジュールを立てる際のポイントは以下の通りです。

  • 就業規則の変更が必要な場合は、労使協議や届出の期間を考慮する
  • 従業員への周知期間を十分に確保する(最低1カ月前には告知)
  • システム改修が必要な場合は、開発・テストの期間を見込む
  • 年度の切り替わりや繁忙期を避け、導入時期を調整する

スケジュールは関係部署と共有し、遅延が発生しないように進捗を管理しましょう。

導入後は、従業員からの質問に対応できる体制を整えておくことも大切です。

見直しでよくある失敗パターン

見直しでよくある失敗パターン

福利厚生の見直しでは、コスト削減だけを重視したり、経営層の意見だけで決めたりすると失敗しやすくなります。

よくある失敗パターンを知っておくことで、同じ過ちを避けられます。

ここでは、特に注意すべき2つの失敗パターンを紹介します。

コスト削減だけを重視してしまう

コスト削減を最優先にすると、従業員満足度が下がり、かえって離職率の上昇を招く可能性があります。

よくある失敗例は以下の通りです。

失敗例 起きる問題
利用率だけで制度を廃止 少数でも強く必要としている従業員の不満が高まる
一律カットで予算削減 魅力的な制度まで失われ、採用力が低下する
代替案なしで廃止 従業員が「待遇が悪化した」と感じる

コスト削減が必要な場合でも、削減する制度と新たに充実させる制度をセットで提示することで、従業員の納得感を得やすくなります。

削減の理由を丁寧に説明し、代わりにどのような支援を強化するのかを明確に伝えましょう。

経営層の意見だけで決めてしまう

経営層の判断だけで見直しを進めると、現場の実態とズレた施策になりがちです。

このパターンで起きる問題には、次のようなものがあります。

  • 経営層が良いと思った制度が、実際には従業員のニーズと合わない
  • 現場の声を聞かずに決めたため、導入後に不満が噴出する
  • 利用しにくい条件や手続きが設定され、結局使われない

見直しを成功させるには、従業員アンケートやヒアリングで集めた声を判断材料に含めることが不可欠です。

また、導入前に一部の部署で試験的に運用し、フィードバックを集めてから全社展開する方法も有効です。

導入後の効果測定で見るべき指標

導入後の効果測定で見るべき指標

福利厚生の見直しを実施した後は、効果測定を行い、狙った成果が出ているかを確認します。

測定すべき指標は、利用率と満足度、採用・定着率への影響の2つに大きく分けられます。

ここでは、具体的な測定方法とタイミングの目安を解説します。

利用率と満足度の変化

見直し後の制度が実際に使われているか、従業員の満足度が向上したかを確認します。

測定すべき指標は以下の通りです。

指標 測定方法
制度の利用率 導入前後の利用者数と利用頻度を比較する
従業員満足度 アンケートで福利厚生への満足度を5段階評価で測定
認知度 制度の存在を知っているか、内容を理解しているかを確認

利用率が低い場合は、制度の周知不足や申請手続きの複雑さが原因の可能性があります。

満足度が上がらない場合は、従業員のニーズとのミスマッチが残っている可能性があるため、再度ヒアリングを行いましょう。

採用・定着率への影響

福利厚生の見直しが、採用活動や離職率にどのような影響を与えたかを確認します。

測定すべき指標には、次のようなものがあります。

  • 応募者数や内定承諾率の変化
  • 採用面接での福利厚生に関する質問の内容と頻度
  • 入社後の定着率(特に入社3年以内の離職率)
  • 従業員エンゲージメントスコアの推移

採用広報で新しい制度を訴求した結果、応募者の質や量が変わったかも確認しましょう。

定着率の改善には時間がかかるため、短期的な変化だけでなく、中長期的な推移を追うことが重要です。

測定タイミングの目安

効果測定は、導入直後と一定期間経過後の複数回実施することで、正確な評価ができます。

推奨される測定タイミングは以下の通りです。

  1. 導入1カ月後:初期の利用状況と認知度を確認
  2. 導入3カ月後:利用率の安定化と満足度の変化を測定
  3. 導入6カ月〜1年後:採用・定着率への影響を評価

測定結果をもとに、制度の微調整や周知方法の改善を行い、継続的にブラッシュアップしていきましょう。

効果が不十分な場合は、再度見直しのステップに戻り、改善案を検討することも必要です。

まとめ

まとめ

福利厚生の見直しは、利用率の低下や従業員の不満、採用・離職率の課題という3つのサインが現れたときに着手すべきです。

見直しを始める前には、自社の制度を全てリスト化し、利用実績とコストを数値で整理し、従業員の声を集めて現状を正確に把握することが重要です。

導入後は、利用率と満足度の変化、採用・定着率への影響を測定し、効果を確認することが必要です。

測定タイミングは導入1カ月後、3カ月後、6カ月〜1年後の複数回実施し、結果をもとに継続的に改善していくことで、従業員満足度と生産性向上につなげられます。

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