福利厚生のカフェテリアプランとは?運用のメリットや導入費用の目安を紹介
福利厚生の「カフェテリアプラン」とは、企業が付与するポイント(補助枠)を使って、従業員が用意されたメニューから必要なサービスを選べる制度です。
ライフスタイルやライフステージの違いに合わせて使い方を変えられるため、画一的な福利厚生より満足度を高めやすい一方、運用設計や周知が不十分だと利用率が伸びないこともあります。
この記事では、カフェテリアプランの仕組み・従来制度との違いから、メリット/デメリット、導入費用の目安、導入の流れまでを分かりやすく整理します。
福利厚生のカフェテリアプランとは?

福利厚生カフェテリアプランとは、企業が従業員に一定のポイントを付与し、従業員が用意されたメニューの中から自分に必要なサービスを選択できる福利厚生制度です。
カフェテリアで好きな料理を選ぶように、自由に福利厚生を選べることからこの名前が付けられました。
従業員のライフスタイル多様化に対応できる制度として、多くの導入企業で活用されています。
カフェテリアプランの基本的な仕組み
カフェテリアプランの基本的な仕組みは、企業が年度初めなどに従業員へポイントを付与し、従業員がそのポイントを使って用意されたメニューから自由に選択する流れです。
ポイント付与の方法は企業によって異なりますが、一般的には従業員一人あたり年間3万円~10万円程度のポイントが付与されます。
単年度精算が基本で、使い切れなかったポイントは原則として翌年に持ち越せません。
メニュー選択の対象となる福利厚生は多岐にわたります。
主なメニューには以下のようなものがあります。
- 健康診断や人間ドックなどの健康支援
- 育児支援や介護支援などのライフサポート
- 宿泊旅行費の補助やレジャー施設の割引
- 住宅補助や財形貯蓄などの生活支援
- 自己啓発やスキルアップ支援
管理システムを通じて従業員は自分のポイント残高を確認し、オンラインでメニューを申し込むことができます。
従来の福利厚生制度との違い
従来の福利厚生制度は、企業が一律に提供するサービスを従業員が受け取る形式でした。
例えば、全従業員に社員旅行や保養所の利用権を提供するといった方法です。
一方、カフェテリアプランでは従業員が自分のニーズに合わせてメニューを選べるため、利用しない福利厚生に予算が使われることがありません。
独身者と既婚者、子育て世代とシニア世代では必要な福利厚生が異なりますが、カフェテリアプランならそれぞれのニーズに対応できます。
また、同一労働同一賃金の観点からも、正社員と非正規社員に同じポイントを付与することで公平性を確保しやすくなります。
従来の制度では利用できる人とできない人の差が生まれやすかった点が改善されます。
カフェテリアプランを導入するメリット

カフェテリアプランの導入は、従業員側と企業側の両方にメリットをもたらします。
それぞれの視点から具体的なメリットを見ていきましょう。
従業員側のメリット
従業員にとって最大のメリットは、自分のライフスタイルに合わせて福利厚生を選べる点です。
子育て中の従業員は育児支援を、健康志向の従業員は人間ドックを、趣味を充実させたい従業員は宿泊旅行費の補助を選ぶといった使い方ができます。
従業員ニーズに合った選択ができるため、福利厚生の満足度が大きく向上します。
利用しないサービスを提供されるよりも、自分で選べる方が価値を感じやすいのは当然です。
また、ポイント制により自分が受けられる福利厚生の価値が明確になります。
企業がどれだけ従業員の福利厚生に投資しているかが可視化されることで、会社への信頼感も高まります。
さらに、メニュー選択の自由度が高いことで、ライフステージの変化にも柔軟に対応できます。
結婚や出産、親の介護など、人生のイベントに応じて必要な福利厚生は変わりますが、その都度最適なメニューを選べます。
企業側のメリット
企業側にとっては、従業員満足度の向上が採用力強化や離職率低下につながる点が大きなメリットです。
福利厚生の充実は求職者が企業を選ぶ際の重要な判断材料になります。
予算管理がしやすい
一人あたりのポイント単価を設定することで、福利厚生にかかる総額を事前に把握でき、予算の範囲内で運用できます。
従来の制度では利用者数が読めず予算オーバーになるリスクがありましたが、カフェテリアプランではそうした心配が少なくなります。
不公平感の解消につながる
カフェテリアプランの導入は、公平性が確保できるため、従業員間の不公平感を解消できます。
すべての従業員に同じポイントを付与することで、特定の従業員だけが恩恵を受ける状況を避けられます。
業務負担が軽減される
運用面では、代行サービスやアウトソーサーを活用することで、人事部門の業務負担を軽減できます。
リロクラブ、ベネフィットワン、イーウェルなどの専門企業がパッケージプランを提供しており、管理システムの構築から日常的な運用まで任せることが可能です。
デメリットや注意点

カフェテリアプランにはメリットが多い一方で、導入前に理解しておくべきデメリットや注意点もあります。
運用面とコスト面、そして利用率に関する課題を確認しましょう。
運用面での課題
カフェテリアプランの運用には、従来の福利厚生制度よりも手間がかかります。
自社運用を選択した場合、管理システムの構築や維持、従業員からの問い合わせ対応など、人事部門の業務が増加します。
メニューの設計や更新、ポイント付与の管理、利用状況の把握など、継続的な運用業務が発生します。
特に導入初年度は、従業員への説明会や利用促進の施策も必要になります。
また、メニュー選択によっては課税対象となる項目と非課税の項目があるため、税務処理が複雑になる可能性があります。
健康診断や人間ドックなど一定の条件を満たすものは非課税ですが、レジャー関連の補助などは課税対象になる場合があります。
従業員がシステムを使いこなせるかという課題もあります。
ITリテラシーに差がある場合、一部の従業員が利用しづらいと感じる可能性があります。
コスト面での注意点
カフェテリアプランの導入には初期費用と継続的な運用コストがかかります。
代行サービスを利用する場合、初期費用として数十万円、月額費用として従業員一人あたり数百円程度が必要です。
さらに、従業員に付与するポイント自体が福利厚生費として発生します。
従業員数が多い企業ほど総額は大きくなるため、予算の確保が重要になります。
従来の福利厚生制度から切り替える場合、既存の契約を解約する費用や、新制度への移行期間中に両方の制度が並行稼働することもあるため、一時的にコストが増加する可能性もあります。
従業員の利用率が低くなるケース
カフェテリアプランを導入しても、従業員の利用率が低ければ効果は限定的です。
ポイント消化率が低くなる主な原因として、以下のようなケースがあります。
メニューの魅力が不足している
従業員ニーズを十分に把握せずにメニューを設計すると、「使いたいメニューがない」という状況になります。
制度の周知不足
導入したことや利用方法が従業員に十分に伝わっていないと、せっかくのポイントが使われないまま期限を迎えてしまいます。定期的な案内や利用促進の施策が必要です。
導入したことや利用方法が従業員に十分に伝わっていないと、せっかくのポイントが使われないまま期限を迎えてしまいます。
定期的な案内や利用促進の施策が必要
申し込み手続きが煩雑だと利用が敬遠されます。
システムの使い勝手が悪かったり、承認プロセスが複雑だったりすると、従業員は利用を諦めてしまいます。
導入費用はどれくらい?

カフェテリアプランの導入を検討する際、具体的な費用の目安を知っておくことは重要です。
初期費用と月額運用コスト、企業規模別の違い、そして従業員一人あたりのポイント単価について解説します。
初期費用の目安
カフェテリアプランの初期費用は、自社運用か代行サービスの利用かによって大きく異なります。
代行サービスを利用する場合、一般的な初期費用は30万円~100万円程度です。
初期費用に含まれる主な項目は以下の通りです。
- 管理システムの初期設定費用
- 従業員データの登録作業
- メニュー設計のコンサルティング
- 従業員向け説明資料の作成
- 管理者向けの研修費用
自社運用を選択する場合は、システム開発費用として数百万円かかる可能性があります。
ただし、既存の人事システムと連携できる場合は費用を抑えられることもあります。
月額運用コストの内訳
月額運用コストは、代行サービスの利用料金とポイント付与額で構成されます。
代行サービスの利用料金は、従業員一人あたり月額300円~800円程度が相場です。
月額運用コストに含まれる主なサービスは以下の通りです。
- 管理システムの利用料金
- メニュー提供と更新
- 従業員からの問い合わせ対応
- 利用状況のレポート作成
- システムのメンテナンス
これに加えて、従業員に付与するポイント自体が福利厚生費として発生するため、総額を計算する際は両方を考慮する必要があります。
大企業の場合
従業員数が1,000名以上の大企業では、スケールメリットにより一人あたりの運用コストを抑えられる傾向があります。
代行サービスの月額利用料金は従業員一人あたり300円~500円程度になることが多いです。
大企業の場合、初期費用は50万円~100万円程度かかりますが、従業員数で割ると一人あたりの負担は小さくなります。
また、複数の代行サービス会社から提案を受けて比較検討することで、より有利な条件を引き出せる可能性があります。
中小企業の場合
従業員数が100名~300名程度の中小企業では、一人あたりの運用コストが大企業よりも高くなる傾向があります。
代行サービスの月額利用料金は従業員一人あたり500円~800円程度が目安です。
中小企業向けには、初期費用を抑えたパッケージプランも提供されています。
初期費用30万円程度から始められるサービスもあり、導入のハードルは下がっています。
ただし、従業員数が少ない場合は最低利用料金が設定されていることもあるため、見積もりを取る際は総額で比較することが重要です。
従業員1人あたりのポイント単価
従業員一人あたりのポイント単価は、企業の福利厚生予算や方針によって異なります。
一般的には年間3万円~10万円程度の範囲で設定されることが多いです。
ポイント単価を決める際は、以下の要素を考慮します。
- 従来の福利厚生費の総額
- 業界や競合他社の水準
- 従業員の期待値
- 企業の財務状況
年間5万円のポイントを付与する場合、月額の代行サービス料金が500円とすると、一人あたりの年間総コストは5万6,000円になります。
この総額を福利厚生予算として確保できるかを検討しましょう。
導入の流れと運用手順

カフェテリアプランを成功させるには、導入前の準備から運用開始後の管理まで、計画的に進めることが重要です。
具体的なステップと確認すべき項目を見ていきましょう。
導入前に確認すべき項目
導入を決定する前に、以下の項目を確認しておく必要があります。
従業員ニーズの把握
アンケート調査やヒアリングを通じて、従業員がどのような福利厚生を求めているかを明らかにします。
予算の確保
初期費用、月額運用コスト、ポイント付与額の合計を算出し、継続的に予算を確保できるかを確認します。
社内の体制整備
運用を担当する部署や担当者を明確にし、必要な権限や業務時間を確保します。
代行サービスを利用する場合でも、社内の窓口担当者は必要です。
また、既存の福利厚生制度との関係を整理します。
カフェテリアプランに統合するもの、並行して継続するもの、廃止するものを明確にしておきましょう。
導入ステップの全体像
カフェテリアプランの導入は、一般的に以下のステップで進めます。
①情報収集と方針決定
代行サービス会社から資料を取り寄せ、複数社の提案を比較検討します。
自社に合った運用方法を決定し、経営層の承認を得ます。
②制度設計
ポイント単価の設定、メニューの選定、課税と非課税の区分整理、利用ルールの策定などを進めます。この段階で代行サービス会社と契約し、詳細を詰めていきます。
ポイント単価の設定、メニューの選定、課税と非課税の区分整理、利用ルールの策定などを進めます。
この段階で代行サービス会社と契約し、詳細を詰めていきます。
③システム構築と準備
管理システムの設定、従業員データの登録、説明資料の作成を行います。
管理者向けの研修も実施します。
④従業員への周知
説明会の開催、利用ガイドの配布、システムの操作方法の案内などを通じて、制度の内容と利用方法を丁寧に説明します。
⑤運用の開始
初年度は試行期間と位置づけ、従業員の反応や利用状況を注視しながら、必要に応じて改善を加えていきます。
運用開始後の管理業務
運用開始後は、継続的な管理業務が発生します。
主な業務内容は以下の通りです。
| 業務カテゴリ | 内容 | 具体的な対応例 | 実施タイミング(目安) |
|---|---|---|---|
| ポイント付与の管理 | 年度初めや入社時など、タイミングに応じて適切にポイントを付与します。 |
|
年度初め/入社時 |
| 異動・退職に伴う処理 | 人事異動や退職に伴う処理も必要です。 |
|
異動時/退職時/随時 |
| 利用状況のモニタリング | どのメニューがよく利用されているか、ポイント消化率はどの程度かなど、定期的にデータを確認します。 |
|
月次/四半期 |
| 利用率低下時の改善 | 利用率が低い場合は原因を分析し、改善策を講じます。 |
|
モニタリング結果に応じて随時 |
| 問い合わせ対応 | 従業員からの問い合わせ対応も重要な業務です。 |
|
随時 |
| 年度末の集計・分析と報告 | 年度末には、利用実績の集計と分析を行います。 |
|
年度末 |
| メニューの見直し | 従業員のニーズは変化するため、利用状況を踏まえてメニューを追加・削除・変更します。 |
|
半期/年度更新前 |
まとめ

福利厚生カフェテリアプランは、従業員が付与されたポイントで自由にメニューを選べる制度です。
従来の画一的な福利厚生と比べて、従業員満足度の向上と公平性の確保を同時に実現できます。
導入を成功させるには、従業員ニーズの把握、適切な予算確保、丁寧な周知活動が重要です。
運用開始後も利用状況をモニタリングし、継続的に改善を図ることで、福利厚生制度の効果を最大化できます。
自社の状況に合わせて、代行サービスの活用も含めた最適な運用方法を検討しましょう。
