福利厚生

福利厚生の種類一覧!法定6種類と法定外をわかりやすく整理

ふくラボ編集部

福利厚生は「法定(必須)」と「法定外(任意)」に分かれ、企業のコスト構造と従業員の安心感の両方に直結します。

とくに法定福利厚生は、加入漏れがあるとトラブルや追加負担につながりやすいため、まず全体像を押さえることが重要です。

この記事では、福利厚生を一覧で整理し、法定福利厚生6種類と法定外福利厚生をカテゴリ別にわかりやすくまとめます。

「うちの会社は何が必要で、何を追加すると効果が出るのか」を判断できるよう、対象者の目安や企業負担の考え方もあわせて解説します。

【一覧】法定福利厚生の6種類

【一覧】法定福利厚生の6種類

法定福利厚生とは、法律で企業に加入が義務付けられている社会保険制度です。従業員の生活基盤を支える重要な制度で、企業と従業員が保険料を負担します。

法定福利厚生は以下の6種類で構成されており、企業規模や従業員の雇用形態によって加入要件が異なります。

制度名 対象となる従業員 企業負担割合の目安
健康保険 正社員・週30時間以上のパート 約50%
厚生年金保険 正社員・週30時間以上のパート 約50%
介護保険 40歳以上の被保険者 約50%
雇用保険 週20時間以上勤務する従業員 約60%
労災保険 全従業員 100%
子ども・子育て拠出金 厚生年金加入者 100%

これらの法定福利厚生は企業運営の基本コストとなるため、正確な費用把握と適切な加入手続きが必要です。

健康保険

健康保険は、従業員やその家族が病気やケガをした際の医療費負担を軽減する制度です。

企業と従業員が保険料を折半し、医療機関での窓口負担が原則3割になります。

中小企業の多くは全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入し、大企業では独自の健康保険組合を設立するケースもあります。

保険料率は都道府県や組合によって異なり、標準報酬月額に応じて計算されます。

健康保険に加入することで、従業員は出産手当金や傷病手当金などの給付も受けられるため、安心して働ける環境が整います。

厚生年金保険

厚生年金保険は、従業員の老後の生活を支える公的年金制度です。

企業と従業員が保険料を折半し、将来の年金受給額を積み立てます。

国民年金に上乗せされる形で給付されるため、厚生年金加入者は老齢基礎年金と老齢厚生年金の2階建て年金を受け取れます。

保険料率は標準報酬月額の18.3%で、企業と従業員が9.15%ずつ負担します。

厚生年金への加入は従業員の将来設計に直結するため、人材確保の観点でも重要な制度です。

介護保険

介護保険は、40歳以上の従業員が負担する制度で、将来介護が必要になった際のサービス費用を支援します。

健康保険料と合わせて徴収され、企業と従業員が折半します。

介護保険料率は健康保険組合や協会けんぽによって異なりますが、標準報酬月額の1.8%程度が一般的です。

従業員が40歳に達した月から自動的に徴収が開始されます。

雇用保険

雇用保険は、従業員が失業した際の生活安定と再就職支援を目的とした制度です。

週20時間以上勤務する従業員が加入対象となり、企業と従業員が保険料を負担します。

企業負担率は業種によって異なり、一般事業では賃金総額の0.95%程度です。

従業員は失業時に基本手当(失業給付)を受け取れるほか、育児休業給付金や介護休業給付金も雇用保険から支給されます。

雇用保険は従業員のセーフティネットとして機能し、安心して働ける環境づくりに貢献します。

労災保険

労災保険は、業務中や通勤中の事故・病気に対する補償制度で、保険料は企業が全額負担します。

従業員の雇用形態にかかわらず、全従業員が対象です。

保険料率は業種によって異なり、危険度の高い建設業や製造業では高く、事務職中心の業種では低く設定されています。

労災が発生した場合、治療費や休業補償、障害補償などが支給されます。

労災保険への加入は法律で義務付けられており、未加入の場合は罰則の対象となるため、必ず手続きを行う必要があります。

子ども・子育て拠出金

子ども・子育て拠出金は、児童手当や子育て支援事業の財源として企業が全額負担する制度です。厚生年金保険の被保険者を雇用する企業が対象となります。

拠出金率は標準報酬月額の0.36%で、従業員負担はありません。

企業が社会全体の子育て支援に貢献する仕組みとして位置づけられています。

【一覧】法定外福利厚生の種類(カテゴリ別)

【一覧】法定外福利厚生の種類(カテゴリ別)

法定外福利厚生は、企業が独自に設計・導入できる制度で、従業員満足度の向上や人材確保に直結します。

法律による義務はありませんが、企業の魅力を高め、離職率を下げる効果が期待できます。

法定外福利厚生は多岐にわたるため、以下の11カテゴリに分類して解説します。

  • 食事・飲料(日常的に利用できる食事補助)
  • 通勤・移動(交通費や出張時の負担軽減)
  • 住宅(家賃補助や社宅の提供)
  • 子育て・介護(育児や介護との両立支援)
  • 働き方(柔軟な勤務形態の提供)
  • 余暇・レクリエーション(リフレッシュ支援)
  • 慶弔・災害(ライフイベントへの支援)
  • 健康・ヘルスケア(心身の健康管理)
  • 自己啓発・学習(スキルアップ支援)
  • 財産形成(長期的な資産形成支援)
  • その他(ユニークな福利厚生)

食事・飲料(社食、食事補助、置き型社食)

食事補助は従業員の日常生活を支える福利厚生として人気が高く、導入コストも比較的抑えられます。

社員食堂の設置、食事手当の支給、置き型社食サービスの導入など、企業規模や予算に応じた選択肢があります。

社員食堂は大企業に多く見られ、栄養バランスの取れた食事を低価格で提供できます。

一方、中小企業では置き型社食やランチ補助券の配布が現実的です。

種類 導入コストの目安 メリット
社員食堂 高(設備投資・運営費) 栄養管理・コミュニケーション促進
食事手当 中(月数千円/人) 柔軟性が高い・管理が簡単
置き型社食 低(初期費用なし・利用分のみ) 導入が容易・従業員満足度が高い

食事補助は損金算入できる場合もあるため、税務上のメリットも考慮して導入方法を選ぶとよいでしょう。

通勤・移動(交通費、定期、駐車場、出張手当)

通勤手当や交通費補助は、多くの企業で導入されている基本的な福利厚生です。

通勤定期代の全額または一部支給、駐車場代の補助、出張時の交通費・宿泊費支給などが含まれます。

通勤手当は一定額まで非課税となるため、従業員の手取り額を増やしつつ、企業の社会保険料負担を抑える効果があります。

リモートワークの普及に伴い、在宅勤務手当と通勤手当を併用する企業も増えています。

出張手当は、移動や宿泊の実費に加えて日当を支給することで、出張による負担を軽減し、従業員のモチベーション維持に貢献します。

住宅(住宅手当、社宅・寮、家賃補助)

住宅関連の福利厚生は、従業員の生活費負担を大きく軽減できるため、人材確保や定着率向上に効果的です。

住宅手当の支給、社宅・独身寮の提供、家賃補助などの形態があります。

住宅手当は給与に上乗せして支給するため、従業員の自由度が高い一方、社会保険料の算定基礎に含まれます。

社宅の提供は企業負担が大きいものの、従業員の実質的な手取り増加につながります。

種類 従業員メリット 企業の注意点
住宅手当 自由に住居を選べる 社会保険料の算定基礎に含まれる
社宅・寮 家賃負担が大幅に軽減 物件管理コストがかかる
家賃補助 実費の一部を補填 支給基準の明確化が必要

子育て・介護(育児支援、時短、介護休業支援)

子育てや介護との両立を支援する福利厚生は、従業員のライフステージに応じた働きやすさを提供します。

育児休業制度の充実、時短勤務の導入、介護休業支援、ベビーシッター補助などが代表的です。

法定の育児休業に加えて、企業独自の延長制度や復職支援プログラムを設けることで、優秀な人材の離職を防げます。

介護休業についても、法定以上の日数や柔軟な取得方法を認めることで、従業員の安心感が高まります。

子育て支援は特に女性従業員の定着率向上に効果的ですが、男性の育児参加を促進する制度設計も重要です。

働き方(在宅手当、フレックス、副業、サテライト)

働き方の多様化を支援する福利厚生は、従業員の生産性向上とワークライフバランスの実現に貢献します。

在宅勤務手当、フレックスタイム制、副業許可、サテライトオフィスの利用などが含まれます。

在宅勤務手当は、通信費や光熱費の増加分を補助する制度で、リモートワーク環境の整備に役立ちます。

フレックスタイム制は、コアタイムを設定しつつ出退勤時間を柔軟にすることで、育児や通院との両立を支援します。

  • 在宅勤務手当:通信費・光熱費の補助(月数千円程度)
  • フレックスタイム制:コアタイム設定で柔軟な勤務時間を実現
  • 副業許可:スキルアップや収入増加の機会を提供
  • サテライトオフィス:通勤負担を軽減し地方在住者も雇用可能

これらの制度は導入コストが比較的低く、従業員満足度を高める効果が大きいため、多くの企業で採用が進んでいます。

余暇・レクリエーション(旅行補助、施設割引、部活動)

余暇やレクリエーションを支援する福利厚生は、従業員のリフレッシュと社内コミュニケーション活性化に寄与します。

保養所の提供、旅行補助、スポーツ施設の割引利用、社内部活動への補助などが代表的です。

旅行補助は、宿泊費の一部を会社が負担する制度で、家族旅行や社員旅行の促進に効果的です。

福利厚生サービスと提携すれば、全国の宿泊施設やレジャー施設を割引価格で利用できます。

社内部活動への補助は、同じ趣味を持つ従業員同士の交流を深め、部署を超えたコミュニケーションを促進します。

慶弔・災害(結婚・出産祝い、弔慰金、災害見舞金)

慶弔見舞金制度は、従業員のライフイベントや不測の事態に対して企業が支援を行う福利厚生です。

結婚祝い金、出産祝い金、弔慰金、災害見舞金などが含まれます。

これらの制度は金額の設定と支給基準の明確化が重要です。

従業員間の公平性を保つため、就業規則や福利厚生規程に明記し、全従業員に周知する必要があります。

種類 支給額の目安 目的
結婚祝い金 3万円〜10万円 新生活の支援
出産祝い金 1万円〜5万円 子育て費用の補助
弔慰金 5万円〜30万円 遺族への支援
災害見舞金 状況に応じて設定 被災時の生活再建支援

健康・ヘルスケア(健康診断、メンタルケア、禁煙支援)

健康管理を支援する福利厚生は、従業員の生産性向上と医療費抑制に貢献します。

法定健康診断に加えて、人間ドックの補助、メンタルヘルスケア、禁煙支援プログラム、フィットネスジム補助などがあります。

人間ドックの費用補助は、早期発見・早期治療を促進し、重大疾病のリスクを軽減します。

メンタルヘルスケアでは、カウンセリング窓口の設置やストレスチェックの実施により、心の健康問題を未然に防ぐことができます。

フィットネスジムの法人契約や運動促進プログラムは、従業員の健康意識を高め、生活習慣病の予防に効果的です。

自己啓発・学習(資格補助、研修、書籍購入)

自己啓発や学習を支援する福利厚生は、従業員のスキルアップと企業の競争力強化を同時に実現します。

資格取得費用の補助、外部研修への参加支援、書籍購入補助、eラーニングの提供などが含まれます。

資格取得支援では、受験料や教材費を企業が負担し、合格時に報奨金を支給する制度が一般的です。

業務に直結する資格だけでなく、自己啓発目的の資格も対象とすることで、従業員の成長意欲を高められます。

  • 資格取得補助:受験料・教材費の全額または一部負担
  • 外部研修支援:セミナー・講座の参加費用を補助
  • 書籍購入補助:月額または年額の上限を設定して支給
  • eラーニング:オンライン学習プラットフォームの契約

これらの制度は従業員の能力開発に直結し、企業の生産性向上にも貢献するため、投資効果が高い福利厚生です。

財産形成(持株会、企業型DC、NISA補助など)

財産形成を支援する福利厚生は、従業員の長期的な資産形成を促進し、老後の生活安定に貢献します。

従業員持株会、企業型確定拠出年金(企業型DC)、退職金制度、確定給付企業年金などが代表的です。

従業員持株会は、給与天引きで自社株を購入する制度で、企業が奨励金を上乗せすることで従業員の資産形成を支援します。

企業型DCは、企業が掛金を拠出し、従業員が運用方法を選択する年金制度です。

制度 特徴 従業員メリット
従業員持株会 自社株を給与天引きで購入 奨励金で資産形成を加速
企業型DC 企業が掛金拠出・従業員が運用 税制優遇を受けながら老後資金を準備
退職金制度 勤続年数に応じて支給 退職後の生活資金を確保

財産形成支援は従業員の長期的な安心感を高め、定着率向上にも効果的です。

その他(ユニーク福利厚生例)

企業独自のユニークな福利厚生は、採用活動での差別化や企業ブランディングに貢献します。

ペット同伴出勤、誕生日休暇、失恋休暇、推し活支援、マッサージルームの設置など、企業文化や従業員のニーズに合わせた制度があります。

ペット同伴出勤は、ペットを飼う従業員のストレス軽減とワークライフバランス向上に効果的です。

誕生日休暇や記念日休暇は、特別な日を大切にする企業文化を示し、従業員満足度を高めます。

ユニークな福利厚生は、SNSでの拡散やメディア掲載により、採用力強化にもつながる可能性があります。ただし、実用性と公平性を考慮した設計が重要です。

福利厚生を充実させるメリット・注意点

福利厚生を充実させるメリット・注意点

福利厚生の充実は、従業員と企業の双方にメリットをもたらしますが、導入時には注意すべきポイントもあります。

制度設計の段階で目的を明確にし、運用ルールを整備することが成功の鍵です。

メリット

福利厚生を充実させることで、企業は以下のような効果を得られます。

  • 従業員満足度の向上:生活の質が高まり、仕事へのモチベーションが向上します
  • 人材確保と離職率の低下:求人での競争力が高まり、優秀な人材が定着します
  • 生産性向上:健康管理やスキルアップ支援により、業務効率が改善します
  • 企業イメージの向上:働きやすい企業として認知され、ブランド価値が高まります
  • 税制上のメリット:一定の福利厚生費は損金算入でき、節税効果があります

特に人材確保が課題となる中小企業では、給与以外の待遇面で差別化を図ることが採用成功の鍵となります。

福利厚生の充実は、求人広告や採用面接でのアピールポイントとして効果的です。

また、従業員の健康管理や自己啓発支援は、長期的な企業の競争力強化につながります。

健康経営の推進により医療費や欠勤率の削減が期待でき、スキルアップ支援は業務品質の向上に直結します。

注意点

福利厚生を導入する際には、以下の点に注意が必要です。

注意点 対策
コスト管理 予算を明確にし、費用対効果を定期的に検証する
公平性の確保 全従業員が利用できる制度設計を心がける
ルールの明文化 就業規則や福利厚生規程に詳細を記載する
利用率の低下 従業員ニーズを定期的に調査し、制度を見直す
税務・労務リスク 専門家に相談し、法令遵守を徹底する

福利厚生の導入後は、利用状況を定期的にモニタリングし、従業員アンケートを実施することで、実際のニーズとのギャップを把握できます。

利用率が低い制度は見直しを行い、より効果的な制度に変更することが重要です。

また、福利厚生費として損金算入するためには、全従業員を対象とし、社会通念上妥当な金額であることが求められます。

特定の従業員のみを優遇する制度や、過度に高額な支給は、給与とみなされて課税対象となる可能性があります。

導入前には税理士や社会保険労務士に相談し、税務リスクや労務リスクを回避する制度設計を行いましょう。

まとめ

まとめ

福利厚生は、法律で加入が義務付けられる「法定福利厚生」と、企業が任意で設計できる「法定外福利厚生」に分かれます。

法定福利厚生6種類は企業運営の基本コストにあたり、対象者の要件や企業負担の割合を正しく理解して、加入漏れや手続きミスを防ぐことが大切です。

一方で法定外福利厚生は、食事・通勤・住宅・両立支援・健康・学習・資産形成など幅広い選択肢があり、従業員のニーズに合わせて組み合わせることで満足度や定着率の向上につながります。

まずは自社の現状を「必須の整備(法定)」「優先して強化したい領域(法定外)」に分けて棚卸しし、目的・公平性・運用負荷のバランスを見ながら制度を見直していきましょう。

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