健康診断でPSA(前立腺腫瘍マーカー)が高いと言われたら?予防と対処法を解説
健康診断の血液検査でPSA(前立腺腫瘍マーカー)の数値が高いと言われ、不安を感じている方は少なくありません。
PSAの異常値は前立腺がんの可能性を示すこともありますが、必ずしもがんとは限らず、適切な対処で早期発見につながります。
この記事では、PSAとは何か、基準値や高くなる原因、指摘されたときの対処法について詳しく解説します。
PSA(前立腺腫瘍マーカー)とは?

PSAは前立腺特異抗原(Prostate Specific Antigen)の略称で、前立腺の健康状態を知るための重要な指標です。
健康診断では採血による血液検査で測定され、前立腺がんのスクリーニング検査として広く活用されています。
PSAは前立腺から分泌されるたんぱく質のこと
PSAは前立腺から分泌される特殊なたんぱく質で、血液中に微量含まれています。
通常は前立腺内に留まっていますが、前立腺に何らかの異常が生じると血中濃度が上昇します。
前立腺がんや前立腺肥大症、前立腺炎などの病気があると、前立腺の組織構造が変化し、PSAが血液中に漏れ出しやすくなるため数値が高くなります。
なぜ健康診断でPSA検査をするの?
PSA検査は前立腺がんの早期発見を目的としたスクリーニング検査として実施されます。
前立腺がんは日本人男性の罹患率が高く、早期発見により治療の選択肢が広がります。
人間ドックや健康診断では、50歳以上の男性を中心にPSA検査が推奨されています。
血液検査だけで簡単に調べられるため、身体への負担が少なく、定期的なチェックに適しています。
PSAの基準値と異常値の目安

PSA検査の結果を正しく理解するには、基準値と数値別のリスクレベルを知っておくことが大切です。
数値によって必要な対応が変わるため、自分の状態を把握しましょう。
正常値は4.0ng/mL以下が基本
一般的にPSAの基準値は4.0ng/mL以下とされています。
この数値以下であれば、前立腺がんのリスクは低いと判断されます。
ただし、4.0ng/mL以下でも前立腺がんが存在する可能性はゼロではありません。
逆に基準値を超えていても、必ずしもがんとは限らないため、総合的な判断が必要です。
数値別のリスクレベル(4〜10・10以上の違い)
PSA値は数値の範囲によってリスクレベルが異なります。
以下の表で数値別の対応を確認しましょう。
| PSA値(ng/mL) | リスクレベル | 推奨される対応 |
|---|---|---|
| 4.0以下 | 正常範囲 | 定期的な検査で経過観察 |
| 4.0〜10.0 | グレーゾーン | 泌尿器科での再検査・精密検査 |
| 10.0以上 | 高リスク | 泌尿器科での精密検査(前立腺生検など) |
4.0〜10.0ng/mLのグレーゾーンでは、前立腺がんの可能性が約25%程度とされています。
10.0ng/mL以上になると、前立腺がんの可能性がさらに高まるため、早急な精密検査が必要です。
年齢によって基準値が変わる場合も
PSAの基準値は年齢とともに変化することがあります。
加齢により前立腺が大きくなる傾向があるため、年齢別の基準値を設けている医療機関もあります。
一般的には、50代では3.5ng/mL以下、60代では4.5ng/mL以下といった年齢別基準が用いられる場合があります。
健康診断の結果を見る際は、年齢を考慮した判断が重要です。
PSAが高くなる原因一覧

PSA値が高くなる原因は前立腺がんだけではありません。
さまざまな要因が数値に影響するため、原因を正しく理解することが大切です。
前立腺がんの可能性
PSA値が高い場合、最も注意すべきは前立腺がんの可能性です。
前立腺がんは前立腺の細胞が悪性化する病気で、進行すると骨やリンパ節に転移することがあります。
PSA検査だけでは確定診断はできないため、数値が高い場合は泌尿器科での精密検査(直腸内触診、経直腸的超音波検査、前立腺MRI検査、前立腺生検など)が必要です。
前立腺肥大症
前立腺肥大症は加齢とともに前立腺が大きくなる良性の病気です。
50歳以上の男性に多く見られ、排尿障害などの症状を引き起こします。
前立腺が大きくなると、それに伴ってPSA値も上昇する傾向があります。
前立腺肥大症自体はがんではありませんが、PSA値を押し上げる原因となります。
前立腺炎による一時的な上昇
前立腺炎は細菌感染やその他の原因で前立腺に炎症が起こる病気です。
急性前立腺炎では発熱や排尿時の痛みなどの症状が現れます。
炎症によって前立腺の組織が傷つくと、PSAが血液中に漏れ出しやすくなり、一時的に数値が上昇します。
炎症が治まれば、PSA値も正常範囲に戻ることが多いです。
射精・激しい運動・自転車などによる一時的な影響
日常生活の中にも、PSA値を一時的に上昇させる要因があります。
以下のような行動は検査前に注意が必要です。
- 検査前2〜3日以内の射精
- 長時間の自転車やバイクの運転
- 激しい運動や筋力トレーニング
- 前立腺への物理的刺激
これらの行動は前立腺を刺激し、PSAを血液中に放出させる可能性があります。
正確な検査結果を得るため、検査前は前立腺への刺激を避けることが推奨されます。
健康診断でPSAの異常値を指摘された…どうしたら良い?

健康診断でPSAの異常値を指摘されても、慌てる必要はありません。
適切な手順で対応すれば、正確な診断と早期治療につながります。
まず「要再検査」「要精密検査」がどうか確認
健康診断の結果には、「要再検査」または「要精密検査」といった判定が記載されています。
この判定によって次に取るべき行動が変わります。
| 判定 | 意味 | 対応 |
|---|---|---|
| 要再検査 | 一時的な上昇の可能性 | 数週間後に再度PSA検査を受ける |
| 要精密検査 | 詳しい検査が必要 | 速やかに泌尿器科を受診 |
要再検査の場合は、一時的な要因でPSAが上昇した可能性があるため、再検査で数値の推移を確認します。
要精密検査の場合は、より詳しい組織検査や画像検査が必要です。
泌尿器科を受診する
PSA異常値を指摘されたら、泌尿器科での診察を受けましょう。
泌尿器科では二次スクリーニングとして、以下のような検査が行われます。
- 問診と症状の確認
- 直腸内触診(前立腺の大きさや硬さを確認)
- 経直腸的超音波検査(前立腺の内部を画像で確認)
- 前立腺MRI検査(より詳細な画像診断)
- 前立腺生検(針生検による組織検査で確定診断)
これらの検査により、PSA上昇の原因を特定し、前立腺がんの有無を確定診断します。
必要に応じてCT検査や骨シンチグラフィーなどの病期診断も行われます。
受診までにやってはいけないこと
泌尿器科を受診するまでの間、以下の行動は避けましょう。
正確な診断の妨げになる可能性があります。
- 自己判断でサプリメントや薬を服用する
- 前立腺を刺激する行動(長時間の自転車運転など)
- 受診を先延ばしにする
早期発見・早期治療が重要なため、異常値を指摘されたら速やかに医療機関を受診しましょう。
PSA値を下げるために今日からできること

PSA値を適正に保つには、日常生活での予防策が重要です。
生活習慣の改善により、前立腺の健康をサポートできます。
食生活の改善
前立腺の健康には、バランスの取れた食生活が大切です。以下のような食品を積極的に取り入れましょう。
- トマト(リコピンが豊富で前立腺の健康に良いとされる)
- 大豆製品(イソフラボンが前立腺に良い影響を与える可能性)
- 緑黄色野菜(抗酸化作用のあるビタミンが豊富)
- 青魚(オメガ3脂肪酸が炎症を抑える)
一方で、高脂肪食や過度なアルコール摂取は控えめにすることが推奨されます。
バランスの良い食事は前立腺だけでなく、全身の健康維持にも役立ちます。
定期的なPSA検査で数値の変化を追う
PSA値は一度の検査結果だけでなく、経時的な変化を見ることが重要です。
定期的に検査を受けることで、数値の上昇傾向を早期に発見できます。
50歳以上の男性は年に1回、PSA検査を受けることが推奨されています。
家族歴がある場合は、40代から検査を開始することも検討しましょう。
適度な運動と肥満解消
適度な運動は前立腺の健康維持に効果的です。
肥満は前立腺肥大症や前立腺がんのリスクを高める可能性があるため、適正体重の維持が大切です。
ウォーキングや水泳などの有酸素運動を週に3〜4回、30分程度行うことが推奨されます。
激しすぎる運動は逆効果になる場合があるため、無理のない範囲で継続しましょう。
まとめ

健康診断でPSAが高いと指摘されても、必ずしも前立腺がんとは限りません。
前立腺肥大症や前立腺炎、一時的な要因でも数値は上昇します。
異常値を指摘されたら、速やかに泌尿器科を受診し、精密検査を受けることが大切です。
日常生活では食生活の改善や適度な運動、定期的な検査により、前立腺の健康を維持しましょう。
