転職時に健康診断書を求められたら?受けるべきタイミングや費用を解説
転職活動が進み、内定が近づいてきた段階で「健康診断書を提出してください」と言われて戸惑った経験はありませんか。
健康診断書の提出は法律で定められた手続きですが、いつ・どこで・いくらで受診すればよいのか分からず、入社直前に慌ててしまう方が少なくありません。
この記事では、転職時の健康診断について、企業が求める理由から受診のタイミング、費用負担まで具体的に解説します。
転職で健康診断書を求められるのはなぜ?

転職先の企業が健康診断書の提出を求めるのは、労働安全衛生規則に基づく法的義務があるためです。
企業は従業員の健康状態を把握し、安全に働ける環境を整える責任があります。
健康診断はその第一歩となる重要な手続きです。
会社が提出を求める理由
企業が健康診断書を求める主な理由は、以下の3つに整理できます。
| 理由 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 安全配慮義務の履行 | 労働契約法により、企業は従業員の生命や健康を守る義務があり、健康状態の把握が必要 |
| 適正配置の判断 | 既往歴や健康状態を確認し、業務内容と照らし合わせて無理のない配置を検討 |
| 職業適性の確認 | ドライバー業務など特定の業務では、健康状態が業務遂行に直接影響するため |
ただし、健康診断の結果を採用選考の判断材料にすることは原則として認められていません。
あくまで入社後の配置や健康管理のために使われるものです。
「雇入れ時健康診断」と定期健診の違い
転職時に求められる健康診断は「雇入れ時健康診断」と呼ばれ、定期健診とは目的が異なります。
| 項目 | 雇入れ時健康診断 | 定期健診 |
|---|---|---|
| 実施時期 | 入社時(常時使用する労働者が対象) | 年1回(在職中の全従業員が対象) |
| 法的根拠 | 労働安全衛生規則第43条 | 労働安全衛生規則第44条 |
| 検査項目 | 既往歴、業務歴、血圧測定、尿検査、胸部エックス線検査、血液検査など | 雇入れ時とほぼ同様(年齢により一部省略可) |
雇入れ時健康診断の検査項目には、貧血検査、肝機能検査、血糖検査、心電図検査なども含まれます。
これらの項目は、労働安全衛生規則で定められた法定項目として実施が義務付けられています。
内定前・内定後・入社後、どのタイミングがベスト?

健康診断を受けるタイミングは、内定後から入社日までの間が最も適切です。
企業から指定がない場合でも、入社予定日の2〜3週間前までに受診しておくと安心です。
- 内定前:採用選考への影響を避けるため、企業から求められない限り不要
- 内定後:企業から提出期限の指示があった場合は、その期限に間に合うよう受診
- 入社後:法律上は入社後でも問題ないが、初日から必要書類が揃っていることが望ましい
健康診断書には有効期限があり、一般的に受診日から3ヶ月以内のものが有効とされます。
あまり早く受けすぎると、入社時には期限切れになってしまう可能性があるため注意が必要です。
企業によっては、直近の定期健診の結果を代用できるケースもあります。
前職で受けた健康診断が3ヶ月以内であれば、その診断書のコピーで対応できるか人事担当者に確認してみましょう。
受診から発行までの目安

健康診断を受けてから診断書が手元に届くまでの日数は、医療機関や検査内容によって異なります。
余裕を持ったスケジュールを組むことで、提出期限に間に合わないトラブルを避けられます。
当日発行できるケース/できないケース
診断書の発行スピードは、主に検査項目と医療機関の体制によって決まります。
| 発行タイミング | 条件 | 注意点 |
|---|---|---|
| 当日発行 | 血圧測定、尿検査、胸部エックス線検査など基本項目のみ | クリニックによっては追加料金が必要な場合あり |
| 2〜3日後 | 血液検査(貧血検査、肝機能検査、血糖検査)を含む場合 | 最も一般的なパターン |
| 1週間以上 | 健診センターで複数の検査を実施、または繁忙期 | 余裕を持った予約が必要 |
血液検査や心電図検査が含まれる場合、検査結果の確認に数日を要します。
特に血液検査は外部の検査機関に委託されることが多く、結果が戻ってくるまで2〜3営業日かかるのが一般的です。
間に合うための逆算スケジュール例
提出期限から逆算して、以下のようなスケジュールで準備を進めましょう。
- 入社日の3週間前:医療機関を選び、予約を入れる
- 入社日の2週間前:健康診断を受診する
- 入社日の10日前:診断書を受け取り、内容を確認する
- 入社日の1週間前:企業に診断書を提出する
予約が取りにくい時期(年度末や健康診断のシーズン)は、さらに早めの行動が必要です。
特に3〜4月や9〜10月は企業の定期健診と重なるため、希望日に予約が取れないこともあります。
万が一提出期限に間に合わない場合は、早めに人事担当者に連絡し、事情を説明して期限の延長を相談しましょう。
受診先の選び方

健康診断を受けられる医療機関には、いくつかの選択肢があります。
それぞれの特徴を理解し、自分の状況に合った受診先を選びましょう。
クリニック・病院
一般的な内科クリニックや総合病院でも、雇入れ時健康診断を受けられます。
- メリット:自宅や職場の近くで受診でき、通いやすい
- メリット:かかりつけ医がいる場合、既往歴を把握してもらえる
- デメリット:予約が取りにくい場合がある
- デメリット:検査項目によっては対応していないことがある
クリニックを選ぶ際は、事前に電話で「雇入れ時健康診断に対応しているか」「必要な検査項目がすべて実施可能か」を確認しておくと安心です。
健診センター
健診専門の施設では、企業の定期健診や人間ドックと同様に、雇入れ時健康診断にも対応しています。
- メリット:検査項目が充実しており、一度にすべての検査を受けられる
- メリット:診断書の発行がスムーズで、オプション検査も追加しやすい
- デメリット:費用がやや高めに設定されている場合がある
- デメリット:予約が必須で、繁忙期は数週間待つこともある
健診センターは、検査から診断書発行までの流れが効率化されているため、スムーズに手続きを進めたい方に向いています。
会社指定の医療機関
企業によっては、特定の医療機関を指定される場合があります。
この場合は、指定された医療機関で受診する必要があります。
指定がある場合は、予約方法や費用負担についても併せて確認しておきましょう。
会社指定の医療機関を利用する場合、企業が直接費用を支払うケースが多く、自己負担が発生しないこともあります。事前に人事担当者に確認することをおすすめします。
費用はいくら?自己負担?会社負担?

健康診断の費用は、検査項目や医療機関によって異なります。
また、誰が費用を負担するかは、企業の方針や受診のタイミングによって変わります。
費用相場
雇入れ時健康診断の費用相場は、以下の通りです。
| 検査内容 | 費用相場 |
|---|---|
| 基本的な法定項目のみ | 5,000円〜8,000円 |
| 血液検査を含む標準的な内容 | 8,000円〜12,000円 |
| 心電図検査など追加項目を含む | 12,000円〜15,000円 |
検査項目が多いほど費用は高くなりますが、企業から指定された項目をすべて満たす必要があるため、事前に必要な検査内容を確認しておきましょう。
負担者の考え方(ケース別)
費用を誰が負担するかは、法律で明確に定められていないため、企業ごとに対応が異なります。
| ケース | 負担者 | 理由 |
|---|---|---|
| 会社指定の医療機関で受診 | 会社負担 | 企業が直接医療機関に支払うケースが多い |
| 内定後、会社の指示で受診 | 会社負担または精算 | 雇入れ時健康診断は企業の義務のため |
| 内定前に自主的に受診 | 自己負担 | 企業の指示がない段階での受診のため |
| 前職の健康診断書を使用 | 負担なし | 既に受診済みのため追加費用なし |
企業によっては、一旦自己負担で受診し、後日領収書を提出して精算する方式を取る場合もあります。
事前に人事担当者に確認しておくと、無用なトラブルを避けられます。
領収書・精算が必要な場合の注意点
後日精算する場合は、以下の点に注意しましょう。
- 領収書は必ず受け取り、紛失しないよう保管する
- 宛名は個人名か会社名か、事前に確認する
- 精算の期限や提出方法を人事担当者に確認しておく
- 健康保険は適用されないため、全額自己負担となる点を理解する
健康診断は保険診療の対象外であり、全額が自費扱いとなります。そのため、領収書がないと精算できない可能性があるため、必ず受け取って大切に保管してください。
まとめ

転職時の健康診断は、企業の安全配慮義務に基づく重要な手続きです。
内定後から入社日までの間に、余裕を持って受診し、診断書を準備しましょう。
受診先は自分の状況に合わせて選び、費用負担については事前に企業に確認しておくことでスムーズに進められます。
