保養所制度とは?福利厚生として導入するメリット・デメリット
福利厚生の一環として保養所を導入する企業が増えていますが、実際にどのような仕組みで、どんなメリットがあるのか分かりにくいと感じている方も多いのではないでしょうか。
保養所制度は、従業員のリフレッシュや満足度向上につながる一方で、コストや運用面での課題も存在するため、導入前に特徴を正しく理解することが重要です。
この記事では、福利厚生における保養所の種類から、導入のメリット・デメリット、経費計上のポイントまで詳しく解説します。
保養所とは?

保養所とは、企業が従業員の休養やリフレッシュを目的として提供する宿泊施設のことです。
温泉地やリゾート地に設けられることが多く、従業員が通常よりも安価に宿泊できる仕組みとなっています。
企業が直接施設を所有する場合もあれば、外部の宿泊施設と契約して利用権を確保する場合もあります。
いずれの形態でも、従業員の健康維持やモチベーション向上を目的とした福利厚生の一環として位置づけられます。
保養所が福利厚生として扱われる理由
保養所が福利厚生として認められるのは、全従業員が平等に利用できる機会を提供し、健康増進や労働意欲の向上につながるためです。
税法上も、一定の条件を満たせば福利厚生費として経費計上できます。
具体的には、利用料金が適正であること、特定の従業員だけが優遇されないこと、業務とは明確に区別された休養目的であることなどが求められます。
これらの条件を満たすことで、企業は従業員満足度を高めながら、税務上のメリットも享受できます。
社宅・社員寮・旅行補助との違い
保養所と似た福利厚生制度として、社宅・社員寮・旅行補助がありますが、それぞれ目的や利用形態が異なります。
| 制度 | 主な目的 | 利用形態 |
|---|---|---|
| 保養所 | 休養・リフレッシュ | 短期間の宿泊利用 |
| 社宅・社員寮 | 住居の提供 | 長期間の居住 |
| 旅行補助 | 旅行費用の支援 | 金銭的な補助 |
社宅や社員寮は日常生活の基盤となる住居を提供するもので、保養所のような一時的な休養施設とは性質が異なります。
旅行補助は金銭的な支援であり、利用先は従業員が自由に選択できる点が保養所との違いです。
福利厚生における保養所の4つの種類

福利厚生として保養所を導入する方法には、大きく分けて4つの種類があります。
企業の規模や予算、運用方針によって最適な選択肢が変わるため、それぞれの特徴を理解することが重要です。
直営保養所
直営保養所は、企業が土地や建物を所有・管理する形態で、最も自由度の高い運用が可能です。
施設の設計から運営ルールまで、企業の方針に合わせて柔軟に決定できます。
ただし、初期投資や維持管理費用が高額になるため、大企業や従業員数の多い企業に向いています。
建物の老朽化対策や、利用率が低い場合の固定費負担など、長期的な視点での計画が必要です。
契約保養所
契約保養所は、既存のホテルや旅館と法人契約を結び、従業員が優待価格で利用できるようにする方式です。
直営保養所と比べて初期投資が不要で、複数の施設と契約することで選択肢を増やせます。
契約内容によっては、繁忙期の予約が取りにくい、利用人数に制限があるなどの制約が生じる場合があります。
契約時には、利用可能な時期や人数、キャンセルポリシーなどを詳細に確認することが大切です。
会員制リゾート
会員制リゾートは、リゾート施設の会員権を企業が購入し、従業員が利用する形態です。
高級リゾート地の施設を利用できるため、従業員満足度が高まりやすい特徴があります。
一方で、会員権の購入費用や年会費が高額になることが多く、中小企業には導入のハードルが高い場合があります。
また、利用できる施設が限定されるため、従業員の好みに合わない可能性も考慮が必要です。
福利厚生代行サービス
福利厚生代行サービスは、リロクラブやベネフィット・ワン、イーウェル、リソルライフサポートなどの専門企業が提供するパッケージ型のサービスです。
保養所だけでなく、レジャー施設やスポーツクラブなど幅広い福利厚生メニューを利用できる点が魅力です。
月額料金は従業員数に応じて変動しますが、直営保養所と比べて初期投資が少なく、運用の手間も大幅に削減できます。
多様な施設から選べるため、利用率の向上や従業員の満足度向上につながりやすいメリットがあります。
福利厚生で保養所を導入するメリット

保養所を福利厚生として導入することで、企業と従業員の双方にさまざまなメリットが生まれます。
ここでは、代表的な3つのメリットを詳しく解説します。
従業員のリフレッシュと満足度向上につながる
保養所は、従業員が日常から離れてリフレッシュできる環境を提供します。
温泉やリゾート地での滞在は、心身の疲労回復に効果的で、仕事へのモチベーション向上にもつながります。
通常よりも安価に利用できるため、家族旅行の負担を軽減できる点も従業員満足度を高める要因となります。
定期的にリフレッシュの機会を持つことで、長期的なエンゲージメント向上にも寄与します。
採用・定着・企業イメージの底上げになる
充実した福利厚生制度は、採用活動において企業の魅力を高める重要な要素です。
特に若い世代は、ワークライフバランスを重視する傾向が強く、保養所のような制度は企業選びの判断材料になります。
- 求人票や採用サイトでアピールポイントとして活用できる
- 既存従業員の定着率向上につながる
- 従業員の口コミを通じて企業イメージが向上する
福利厚生が充実している企業は、従業員を大切にする企業として認識され、ブランディング効果も期待できます。
コミュニケーション施策(研修・家族参加)にも使える
保養所は、単なる休養施設としてだけでなく、チームビルディングや研修の場としても活用できます。
普段とは異なる環境でのコミュニケーションは、部署間の連携強化や新入社員の早期育成に効果的です。
家族も参加できる行事を開催すれば、従業員の家族にも企業への理解と親近感を持ってもらえます。
こうした取り組みは、従業員の帰属意識を高め、長期的な定着につながります。
福利厚生で保養所を導入するデメリット

保養所の導入には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットや課題も存在します。
導入前にこれらの点を理解し、対策を検討することが重要です。
コストがかかる
保養所の導入・運用には、形態に応じたコストが発生します。
直営保養所の場合は初期投資や維持管理費用が高額になり、契約保養所や福利厚生代行サービスでも継続的な費用が必要です。
| コストの種類 | 具体例 |
|---|---|
| 初期費用 | 施設購入費、会員権購入費、契約金 |
| 運用費用 | 維持管理費、清掃費、光熱費、人件費 |
| 継続費用 | 年会費、月額利用料、契約更新費 |
費用対効果を高めるためには、従業員の利用率を上げる工夫や、適切な運用形態の選択が求められます。
利用の偏り・稼働率低下で「不公平感」が出やすい
保養所は、立地や時期によって利用者が偏りやすい特徴があります。
特定の従業員ばかりが利用する状況が続くと、利用しない従業員から不公平感が生まれ、福利厚生制度への不満につながる可能性があります。
また、稼働率が低いまま維持費だけがかかる状態は、経営上の負担となります。
利用促進のための広報活動や、予約システムの整備、利用実績の可視化などの対策が必要です。
運用ルールが曖昧だとトラブルになりやすい
保養所の利用に関するルールが不明確だと、予約の取り合いやキャンセル対応などでトラブルが発生しやすくなります。
特に以下のような点でルールを明確にしておくことが重要です。
- 予約方法と優先順位の決め方
- キャンセルポリシーと費用負担の区分
- 利用可能な範囲(家族・友人の同伴可否)
- 年間利用回数の制限
就業規則や福利厚生規程に明記し、全従業員に周知することでトラブルを未然に防げます。
福利厚生費として計上する際のポイント

保養所にかかる費用を福利厚生費として経費計上するには、税法上の要件を満たす必要があります。
適切に処理することで、企業の税負担を軽減しながら、従業員に還元できます。
成立しやすい運用条件
福利厚生費として認められやすい運用条件には、以下のようなポイントがあります。
| 条件 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 全従業員が対象 | 正社員だけでなく契約社員やパート社員も利用可能にする |
| 利用料金が適正 | 市場価格と比較して著しく低額でない(一定の自己負担がある) |
| 業務と区別 | 休養・レクリエーション目的であることが明確 |
| 利用機会の平等性 | 特定の役職や部署だけが優遇されない仕組み |
これらの条件を満たすことで、税務調査でも問題なく福利厚生費として認められる可能性が高まります。
計上が難しくなるケース
一方で、以下のようなケースでは福利厚生費としての計上が難しくなります。
- 役員や特定の幹部社員だけが利用できる仕組みになっている
- 利用料金が無料または極端に低額で、実質的な給与とみなされる
- 業務との区別が曖昧で、接待や会議目的での利用が多い
- 健康保険組合など他の制度と重複している
このような場合、給与課税の対象となったり、損金算入が認められなかったりする可能性があります。
運用開始前に税理士や社会保険労務士に相談し、適切な制度設計を行うことが重要です。
よくある質問(FAQ)

保養所の導入・運用に関して、企業から寄せられることの多い質問をまとめました。
従業員の家族や知り合いでも使えるようにしていい?
従業員の家族が利用できるようにすることは、一般的に問題ありません。
むしろ家族も利用可能にすることで、従業員満足度が高まる効果があります。
ただし、知り合いや友人など、従業員以外の第三者が単独で利用できる仕組みにすると、福利厚生としての性質が薄れ、税務上の問題が生じる可能性があります。
利用規程で「従業員本人または家族の同伴が必須」と明記することが望ましいです。
繁忙期の予約が集中する場合はどうする?
夏季休暇や年末年始など、繁忙期に予約が集中する場合は、以下のような対策が有効です。
- 抽選制や先着順など、公平な予約方法を明確にする
- 年間利用回数に上限を設け、多くの従業員が利用機会を持てるようにする
- 閑散期の利用促進キャンペーンを実施し、利用時期を分散させる
- 複数の契約施設を用意し、選択肢を増やす
予約システムを導入して利用状況を可視化することで、運用の透明性も高まります。
正社員以外(契約・パート・派遣)は対象にしていい?
福利厚生費として認められるためには、全従業員が平等に利用できる制度であることが重要です。
正社員のみを対象とすると、税務上のリスクが高まる可能性があります。
契約社員やパート社員も含めて対象とすることが望ましいですが、派遣社員については、雇用関係が派遣元企業にあるため、対象外とするのが一般的です。
ただし、派遣社員を含めることも可能な場合があるため、就業形態に応じて専門家に相談することをおすすめします。
キャンセル料は会社負担?本人負担?
キャンセル料の負担については、事前にルールを明確にしておくことが重要です。
一般的には、以下のような区分が考えられます。
- やむを得ない事情(病気、家族の不幸など):会社負担または一部負担
- 個人的な都合による直前キャンセル:本人負担
- 一定期間前のキャンセル:キャンセル料なし
キャンセルポリシーを就業規則や利用規程に明記し、予約時に確認を促すことでトラブルを防げます。
まとめ

福利厚生における保養所は、従業員のリフレッシュや満足度向上、採用活動の強化など、多くのメリットをもたらす制度です。
直営保養所、契約保養所、会員制リゾート、福利厚生代行サービスという4つの形態があり、企業の規模や予算に応じて選択できます。
一方で、コスト負担や利用の偏り、運用ルールの整備など、導入時に検討すべき課題も存在します。
福利厚生費として適切に計上するためには、全従業員が平等に利用できる仕組みを整え、税法上の要件を満たすことが重要です。
保養所制度を効果的に活用することで、従業員のエンゲージメント向上と企業の成長を同時に実現できます。
自社の状況に合った形態を選び、明確な運用ルールを設けることで、長期的に価値のある福利厚生制度として機能させましょう。
