二次健診の受診勧奨とは?会社の対応と文例・受診率を上げる方法
健康診断で「要再検査」と判定された従業員が、なかなか二次健診を受けてくれない。
何度声をかければよいのか、どこまで会社が関わるべきか、迷っている人事・総務の担当者は多いはずです。
二次健診の受診勧奨は、健診の結果をもとに対象者を抽出し、受診を促して、結果を受け取るまでの一連の対応です。
この記事では、受診勧奨の流れ、そのまま使える文例、受診率を上げる方法、注意点を整理します。
この記事で分かること
- 会社に受診勧奨の義務はあるのか
- 受診勧奨の流れと、そのまま使える文例3つ
- 二次健診を受けない理由と、受診率を上げる方法
二次健診の受診勧奨とは
受診勧奨とは、健康診断で異常が見つかった従業員に、医療機関での検査や治療を受けるよう勧めることです。
企業で行う受診勧奨の多くは、二次検査をまだ受けていない人への案内です。
二次健診・再検査・精密検査の違い
二次健診という言葉は、職場では次の2つの意味で使われています。
| 呼び方 | 内容 |
|---|---|
| 再検査 | 同じ検査をもう一度行い、一時的な変動でないかを確かめる |
| 精密検査 | より詳しい別の検査で、病気の有無や程度を調べる |
| 労災保険の二次健康診断 | 脳・心臓の状態を調べる検査。条件を満たすと無料で受けられる |
一般には、再検査と精密検査をまとめて二次健診と呼ぶことが多いです。
一方、労災保険の「二次健康診断等給付」で受ける検査も二次健診と呼ばれます。
この記事では、両方を含めて二次健診と呼びます。
会社に受診勧奨の義務はあるか
受診勧奨そのものは、法律で義務づけられてはいません。
ただし、厚生労働省の指針では、二次健診の対象者を把握し、受診を勧めることが「適当である」とされています。
あわせて、受けた結果を会社に提出するよう、本人に働きかけることも求められています。
法律の義務と、指針で求められていること
医師が判断するには二次健診の結果が必要。受診勧奨は義務を果たすための前提です。
受診しないまま体調を崩した場合、企業が安全配慮義務を問われるおそれもあります。
従業員の側から見た再検査の義務は、従業員が再検査を受けないときのリスクと法的な扱いでまとめています。
出典:健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針|厚生労働省
受診勧奨の対象になる人
対象は、健診で「要再検査」「要精密検査」「要治療」などと判定された人です。
判定の名前やA〜Eの区分は、健診機関によって異なります。
自社が契約している健診機関の区分を確認し、どの判定から勧奨するかを決めておきましょう。
受診勧奨の流れ
案内は、次の5つの段階で進めます。
受診勧奨は5つの段階で進める
担当者の負担が大きいのはSTEP 4。誰に何回案内したかの記録が欠かせません。
案内の回数と期限を先に決める
案内のたびに担当者が判断していると、時間がかかり、対応にもばらつきが出ます。
次のように、回数と期限をあらかじめ決めておくと進めやすくなります。
案内の回数と期限の決め方(例)
医師の意見を聴く期限(健診から3か月以内)から逆算する
二次健診の受診勧奨の文例
そのまま使える案内の文例を3つ紹介します。
社名や期限、問い合わせ先は、自社に合わせて書き換えてください。
1回目の案内
結果が届いたら、まず本人だけに案内を送ります。
「受けてください」だけでなく、受け方と期限を具体的に書くのがポイントです。
文例1 1回目の案内(本人あて)
件名:健康診断の結果に基づく二次健診のご案内
〇〇さん
先日の定期健康診断で、二次健診(再検査・精密検査)が必要と判定された項目がありました。
早めに医療機関を受診し、〇月〇日までに受診したことを人事部へお知らせください。
勤務時間内の受診は(可・不可を記載)、費用は(会社の扱いを記載)です。
受診先が分からない場合や、日程の相談は、人事部〇〇までご連絡ください。
※この案内は、ご本人にだけお送りしています。
2回目の案内
2回目は、受診の報告がない人だけに送ります。
受けられない事情がある人もいるため、相談できる窓口を書いておきましょう。
文例2 2回目の案内(未受診の人あて)
件名:【再送】二次健診の受診状況の確認
〇〇さん
〇月〇日にご案内した二次健診について、まだ受診のご報告をいただいていません。
すでに受診済みの場合は、受診日を人事部までお知らせください。
仕事の都合や費用など、受けにくい事情がある場合も、お気軽にご相談ください。
〇月〇日までにご連絡をお願いします。
産業医・保健師からの声かけ
3回目は、産業医や保健師から個別に声をかけてもらいます。
人事の担当者が判定の内容に踏み込むより、専門職から話すほうが本人も受け止めやすくなります。
文例3 産業医・保健師からの声かけ
件名:健康診断の結果についてのご相談
〇〇さん
産業医(保健師)の〇〇です。今年の健康診断の結果を拝見しました。
自覚症状がなくても、早めに詳しく調べておくと安心です。
受診先の選び方や検査の内容について、10分ほどお話しできればと思います。
ご都合のよい日時を〇月〇日までにお知らせください。
二次健診を受けない理由と受診率を上げる方法
案内をしても二次検査を受けない社員には、主に3つの理由があります。
受けない理由ごとの対策
理由ごとに対策を用意すると、受診につながりやすくなります。
就業時間内に受けられるようにする
二次検査を就業時間内に受けてよいとするかは、法律で決まっていません。
勤務の扱いにして受診を認めると、休みを取る負担がなくなり、受けやすくなります。
定期健診の時間の扱いは、健診にかかった時間の給与と有給の考え方で解説しています。
費用の扱いを決めて伝える
再検査や精密検査の費用を会社が負担する義務はありません。
ただし、会社が負担する、または一部を補助すると決めれば、受診の後押しになります。
費用の考え方は、再検査の費用は会社と本人のどちらが払うかで整理しています。
労災保険の二次健康診断等給付を案内する
一次健診で4つの項目すべてに異常の所見があった人は、労災保険の二次健康診断等給付を使えます。
労災保険の二次健康診断等給付を使える人
一次健診で、4つの項目すべてに異常の所見がある
4つすべてに当てはまると
指定された医療機関で、脳と心臓の検査、医師や保健師による特定保健指導を無料で受けられます。
請求は一次健診の受診日から3か月以内で、1年度に1回までです。
脳・心臓の病気の症状があると診断されている人や、労災保険の特別加入者は対象外です。
請求書には事業主の証明が必要なので、対象者には会社から案内するとよいでしょう。
受診できる医療機関を案内する
どこで受ければよいか分からない人には、医療機関の選び方を具体的に伝えます。
一次健診を受けた健診機関で二次検査も受けられる場合は、その案内が分かりやすいでしょう。
受診できる診療科を判定ごとに示しておくと、本人が迷わずに済みます。
受診勧奨で気をつけること
案内の際は、健康情報の扱いと、本人への接し方に注意が必要です。
健診の結果は要配慮個人情報として扱う
健康診断の結果は、個人情報保護法で「要配慮個人情報」とされています。
結果を見られる人を限り、上司や同僚に判定の内容を伝えないようにしましょう。
上司から声をかけてもらう場合も、「健診のフォローがある」程度の伝え方にとどめます。
受診を強制しない
受診の案内は、あくまで受診を勧める対応です。
受けないことを理由に、不利益な扱いをすることは避けてください。
受けない人には、理由を聞いて、時間や費用の面で支援できることがないかを検討します。
案内した記録を残す
いつ、誰に、どのように案内したかを記録しておきましょう。
会社として必要な対応をとったことを、後から示せるようにするためです。
受診勧奨の手間を減らす方法
対象者が多い会社では、Excelでの管理に限界が出てきます。
抽出、案内、受診の確認を手作業で行うと、漏れや二重の案内が起きやすいためです。
Excelでの管理と、システム・代行を使う場合の違い
健康管理システムで対象者の抽出と通知を自動にする
多くの健康管理システムでは、判定から対象者を抽出し、本人への通知まで自動で行えます。
受診の状況も一覧で確認できるため、未受診の人への再度の案内がしやすくなります。
主なシステムの違いは、二次健診の管理に使えるシステムの比較で紹介しています。
二次健診の管理を外部に任せる
人手が足りない場合は、二次検査の管理を代行サービスに任せる方法もあります。
任せられる業務の範囲は、健診の事務をどこまで外部に任せられるかで解説しています。
どこでもクリニックの二次健診管理
どこでもクリニックは、健診の予約代行から二次健診の管理までをまとめて支援するサービスです。
要再検査の人をシステムで抽出し、本人への通知や受診状況の確認まで行えます。
健診結果のデータ化や、労働基準監督署への報告書の作成にも対応しています。
サービスの詳細は、資料をダウンロードして確認できます。
二次健診の受診勧奨でよくある質問
従業員が受診を拒否したらどうすればよいですか
強制はできないため、受けない理由を聞いたうえで、産業医や保健師と連携して説明してもらいましょう。
案内した記録は残しておいてください。
二次健診の結果を会社に出してもらえますか
指針では、結果を会社に提出するよう本人に働きかけることが適当とされています。
提出の方法と、結果を見る人の範囲を決めて、本人に伝えておくと安心して出してもらえます。
パートやアルバイトも受診勧奨の対象ですか
会社が健診を実施した人に異常の所見があれば、雇用形態にかかわらず対象と考えるのが自然です。
健診の対象になるパートの条件は、パート従業員に健診を受けさせる条件をご覧ください。
受診勧奨はいつまでに行えばよいですか
決まった期限はありませんが、医師の意見を聴く期限は健診から3か月以内です。
結果が届いたら、できるだけ早く1回目の案内を送りましょう。
まとめ
二次健診の受診勧奨は、法律上の義務ではないものの、国の指針で会社に求められている対応です。
医師の意見を聴き、就業上の措置を決めるためにも、二次検査の結果は欠かせません。
案内の回数と期限、文例、費用や時間の扱いを先に決めておくと、担当者の負担を抑えながら受診率を上げられます。
対象者の抽出や受診の確認に手間がかかっている場合は、システムや代行サービスの活用も検討してください。