健康診断

パートの健康診断は会社の義務?対象になる条件と費用・進め方

パートの健康診断は会社の義務?対象になる条件と費用・進め方
ふくラボ編集部

パートやアルバイトにも健診を受けさせる必要があるのか、判断に迷う担当者は少なくありません。

結論からいうと、2つの条件を満たすパートには、健康診断を実施する義務があります。

条件は、契約期間と労働時間です。

「パートだから対象外」という扱いはできません。

この記事では、義務になる条件と判断に迷う例を、人事・総務の担当者向けに整理します。

費用と受診時間の扱い、受診率を上げる進め方もあわせて解説します。

この記事で分かること

  • パートの健康診断が義務になる2つの条件
  • 対象かどうかを判定する方法と、迷いやすい例
  • 費用と受診時間の扱い、受診率を上げる工夫

パートの健康診断は条件を満たせば会社の義務

労働安全衛生法は、事業者に対して「常時使用する労働者」への健診を義務づけています。

パートが「常時使用する労働者」にあたるかどうかは、雇用形態の名前ではなく、働き方の実態で決まります。

義務になる2つの条件

次の2つを両方とも満たすパートには、実施の義務があります。

  • 契約期間が1年以上である、期間の定めがない、またはすでに1年以上続けて雇用している
  • 1週間の労働時間が、通常の労働者(正社員)の4分の3以上である

会社の規模は関係なく、パートが1人だけの事業場にも実施義務があります。

出典:パート労働者にも健康診断が必要?|愛知労働局

義務ではないが実施が望ましい範囲

労働時間が4分の3に届かなくても、おおむね2分の1以上のパートには、実施することが望ましいとされています。

契約期間の条件は、義務の場合と同じです。

対象かどうかの早見表

うちのパートは対象?3つの質問で判定

Q1契約期間は1年以上ですか(期間の定めなし、更新で1年以上を含む)はい → Q2へいいえ → 対象外
Q2週の労働時間は、正社員の4分の3以上ですかはい → 実施の義務ありいいえ → Q3へ
Q3週の労働時間は、正社員の2分の1以上ですかはい → 実施が望ましいいいえ → 対象外

深夜業などの特定業務に就く人は、Q1の期間が「6か月以上」になります

週の労働時間(正社員との比) 1年以上の雇用(見込みを含む) 1年未満で更新もない
4分の3以上 義務 対象外
2分の1以上、4分の3未満 実施が望ましい 対象外
2分の1未満 対象外 対象外

パートの健康診断の義務を判断する具体例

正社員が週40時間の会社の場合

正社員が週40時間の会社の場合

対象外週20時間未満望ましい20〜30時間未満義務30時間以上

契約期間が1年以上(見込みを含む)のパートの場合

正社員の所定労働時間が週35時間の会社なら、基準は26時間15分以上になります。

基準は「正社員の労働時間」で決まるため、会社ごとに計算が必要です。

短い契約を更新して1年を超えた場合

3か月や6か月の契約でも、更新を重ねて1年以上続けて雇用していれば、条件を満たします。

更新して1年以上働いてもらう予定がある場合も、同じ扱いです。

契約と実際の労働時間が違う場合

契約上は週20時間でも、残業やシフトの追加で、毎週30時間ほど働いている人もいます。

こうした状態が続いている場合は、実際の働き方に合わせて対象に含めるのが安全です。

勤務先を掛け持ちしている場合

労働時間は、勤務先ごとに判断するのが一般的です。

2つの会社で週20時間ずつ働いている人は、合計が40時間でも、どちらの会社でも4分の3に届きません。

義務の基準には届きませんが、本人の健康を考えて、どちらかの会社で受けてもらえるよう相談する方法があります。

深夜業などに就くパート

深夜業などの特定業務に就くパートは、契約期間の条件が「6か月以上」に短くなります。

実施の頻度も、1年ごとではなく、6か月以内ごとに1回です。

深夜業とは、午後10時から午前5時までの業務をいいます。

義務があるパートに実施する健康診断の種類

種類 実施する時期
雇入時の健診 雇い入れるとき
定期健診 1年以内ごとに1回
特定業務従事者の健診 配置のとき、6か月以内ごとに1回
特殊健康診断 有害な業務に就くとき、その後は定期的に

雇入時の健診と定期健診は、法律上「一般健康診断」と呼ばれます。

検査の項目は、正社員と同じです。

雇入時の健診については、雇入時健康診断は会社の義務の記事で解説しています。

ストレスチェックも同じ基準で判断する

常時50人以上の労働者がいる事業場では、ストレスチェックの実施も必要です。

対象になる短時間労働者の範囲は、健診と同じ2つの条件で判断します。

なお、事業場の人数を数えるときは、対象外の短時間労働者も含めて数える点に注意してください。

派遣で働く人の扱い

派遣社員の一般健康診断は、雇用主である派遣元が実施します。

有害な業務に常時従事する場合の特殊健診は、派遣先に実施の義務があります。

パートの健康診断の費用と受診時間

費用は会社が負担する

法律で義務づけられた健診の費用は、事業者が負担すべきものとされています。

対象になる人に、費用の一部を負担させることはできません。

費用の範囲は、会社が負担する健診費用の範囲で整理しています。

出典:健康診断の費用は労働者と使用者のどちらが負担するものなのでしょうか?|厚生労働省

受診時間の賃金は支払うことが望ましい

一般の健診を受けている時間の賃金は、労使で決めるものとされています。

ただし、円滑に受けてもらうために、賃金を支払うことが望ましいとされています。

時給で働く人は、無給だと受診のために収入が減ってしまいます。

勤務時間として扱うかどうかが、パートの受診率を大きく左右します。

パートの健康診断の受診率を上げる進め方

厚生労働省の平成26年の調査では、義務の対象にあたるパートでも、定期健診を受けた割合は91.8%でした。

実施が望ましいとされる層では、72.1%にとどまっています。

受けられない理由として多いのは、勤務日や勤務時間が健診の日程と合わないことです。

出典:パートタイム労働者の健康診断を実施しましょう!!|新潟労働局

パートが定期健診を受けた割合

正社員の4分の3以上働く人(義務の対象)91.8%2分の1以上、4分の3未満の人(実施が望ましい)72.1%2分の1未満の人58.7%

厚生労働省の平成26年の調査(出典は上の資料)

パートの受診率を上げる3つの工夫

1日程を増やす健診の日を複数にする。個別に受けられる医療機関を用意する
2勤務時間として扱う受診時間に給与を支払い、仕事の一部として受けてもらう
3対象者を見直す年に1回、契約期間と労働時間を確認して一覧を更新する

日程の選択肢を増やす

健診の日を1日だけにすると、その日が勤務日でない人は受けられません。

巡回健診の日を増やす、個別に受けられる医療機関を用意するなど、選べる日程を増やします。

受診時間を勤務時間として扱う

同じ資料では、受診時間に給与を支払うことで、受診率がほぼ100%になった飲食業の事例が紹介されています。

仕事の一部として受けてもらう形にすると、受診の案内もしやすくなります。

対象者を毎年見直す

短時間で働く人は、シフトの変更や契約の更新で、対象かどうかが年の途中で変わります。

年に1回は、全員の契約期間と労働時間を確認し、対象者の一覧を更新してください。

人数が多い場合は、健康管理システムで対象者と受診状況をまとめて管理すると、確認の手間が減ります。

受診した後の対応も正社員と同じ

結果に異常の所見があった人については、医師の意見を聴き、必要に応じて勤務の内容や時間を調整します。

結果は健康診断個人票に記録し、5年間保存します。

常時50人以上の事業場では、定期健診の結果を労働基準監督署へ報告する義務も発生します。

健診を受ける機会を雇用形態で分けないことは、健康経営の面でも評価される取り組みです。

予約や結果管理の負担が大きい場合は、代行のサービスを使う方法もあります。

パートの健康診断の義務に違反した場合の罰則

対象の従業員に健診を受けさせなかった事業者には、50万円以下の罰金が定められています。

健康状態を把握しないまま働かせて事故や病気が起きた場合は、会社の安全配慮も問われます。

義務の詳細は、健康診断の法的義務の記事を確認してください。

パートの健康診断の義務でよくある質問

扶養の範囲で働くパートも対象ですか

扶養に入っているかどうかは、健診の義務とは関係がありません。

契約期間と労働時間の2つの条件で判断します。

社会保険に入っていないパートにも義務はありますか

社会保険の加入の基準と、健診の義務の基準は別のものです。

社会保険に入っていなくても、2つの条件を満たせば義務があります。

学生のアルバイトも対象ですか

学生であっても、パート・アルバイトと同じ基準で判断します。

短期のアルバイトで、1年以上働く予定がなければ対象外です。

本人が受けたくないと言った場合はどうしますか

従業員にも、会社が行う健診を受ける義務があります。

ほかの医療機関で受けた結果を提出してもらう方法も認められています。

まとめ

パートの健診は、1年以上の雇用と、正社員の4分の3以上の労働時間を満たせば、会社の義務です。

2分の1以上のパートにも、実施することが望ましいとされています。

費用は会社が負担し、受診時間は勤務時間として扱うと、受診率が上がります。

シフトや契約の変更で対象者は変わるため、年に1回は一覧を見直してください。

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