健康診断個人票とは?誰が書く・書き方・保存期間を様式つきで解説
健康診断の結果が届いたあと、会社には「健康診断個人票」を作成して保存する義務があります。
ただ、健診機関から届く結果票と何が違うのか、誰がどの欄を書くのかは分かりにくいところです。
本記事では、個人票とは何か、誰が書くのか、様式の入手先と書き方、保存期間を、人事・総務の担当者向けに解説します。
この記事で分かること
- 健康診断個人票を誰が書くのか、欄ごとの記入者
- 様式の入手先と書き方
- 保存期間と、管理で注意すること
健康診断個人票とは会社が作成・保存する健診結果の記録
健康診断個人票とは、会社が労働安全衛生法に基づいて実施した健康診断の結果を、従業員ごとに記録した書類です。
労働安全衛生規則第51条は、事業者が個人票(様式第5号)を作成し、5年間保存することを定めています。
対象は定期健康診断だけではありません。雇入時の健康診断や特殊健康診断でも作成が必要です。
労働基準監督署への結果報告は常時50人以上の事業場が対象ですが、個人票の作成と保存は人数にかかわらず必要です。
混同しやすい3つの書類の違いは、次のとおりです。
| 書類 | 作る人 | 目的 |
|---|---|---|
| 個人票 | 会社 | 会社が保存する記録(原則5年) |
| 健康診断結果の通知 | 会社 | 受診した本人に結果を遅滞なく知らせる |
| 定期健康診断結果報告書 | 会社 | 労働基準監督署に提出する(常時50人以上の事業場) |
労働基準監督署に提出する報告書の書き方は、定期健康診断結果報告書の提出義務と書き方で解説しています。
出典:健康診断の個人票とは・・Q&A|和歌山産業保健総合支援センター
健康診断個人票ができるまでの流れ
健康診断個人票は誰が書く?欄ごとの記入者
作成する義務があるのは会社(事業者)です。ただし、すべての欄を担当者が書くわけではありません。
欄ごとの記入者は次のとおりです。
| 欄 | 記入する人 | 書く内容 |
|---|---|---|
| 氏名・生年月日・雇入年月日など | 会社 | 従業員の基本情報 |
| 業務歴・既往歴・自覚症状 | 本人の申告をもとに記録 | 問診で確認した内容 |
| 各検査の結果 | 健診機関の結果を記録 | 身長・体重、血圧、血液検査などの数値や所見 |
| 医師の診断 | 健康診断を実施した医師 | 「異常なし」「要精密検査」「要治療」など |
| 医師の意見 | 産業医など、意見を述べた医師 | 異常の所見があった人の就業上の措置 |
業務歴の欄に何を書くかは、健康診断の業務歴の書き方と記入例を参考にしてください。
「医師の診断」と「医師の意見」は別の医師が書く
「医師の診断」は、健康診断を実施した医師が判定します。
「医師の意見」は、異常の所見があると診断された人について、就業上の措置を医師が述べるものです。通常勤務でよいか、就業制限が必要かといった内容です。
会社は健康診断の実施後3か月以内に医師の意見を聴き、その内容を個人票に記載する必要があります。
産業医を選任している事業場では、産業医が意見を述べます。
50人未満で産業医がいない事業場は、地域産業保健センターを利用できます。登録している産業医に、無料で意見を聴けます。
出典:健康診断個人票の「医師の診断」「医師の意見」とは|和歌山産業保健総合支援センター
健診機関の結果票で代用できるか
様式第5号にある項目が記載されていれば、形式は問われません。
健診機関から届く結果票や一覧表でも、必要な項目がそろっていれば個人票として認められます。
ただし、結果票に「医師の意見」欄がない場合は、会社で追記する必要があります。
健診機関に個人票の形式で作成してもらいたい場合は、契約時に依頼しておきましょう。
健康診断個人票の書き方と様式の入手先
様式は、都道府県労働局のサイトでダウンロードできます。
参考:個人票の様式|長崎労働局
一般健康診断で使う様式第5号は、用途によって分かれています。
- 様式第5号(1):雇入時の健康診断用
- 様式第5号(2):定期健康診断用(表面・裏面)
- 様式第5号(3):海外派遣労働者の健康診断用
雇入時の健康診断の対象者や項目は、雇入れ時健康診断の対象者と11項目で確認できます。
作成の流れは次のとおりです。
- 健診機関から結果を受け取る
- 結果を様式に記録する(結果票をそのまま個人票として使う場合は、不足する項目がないか確認する)
- 異常の所見があった人について医師の意見を聴き、「医師の意見」欄に記載してもらう
- 過去の結果とあわせて保存する
なお、2020年8月28日から医師などの押印は不要になり、記名のみで足ります。
健康診断個人票の保存期間は原則5年
雇入時の健康診断や定期健康診断など、一般健康診断の個人票の保存期間は5年です。
特殊健康診断は、種類によって保存期間が長くなります。
| 健康診断の種類 | 個人票の保存期間 |
|---|---|
| 一般健康診断(雇入時・定期・特定業務従事者など) | 5年 |
| 有機溶剤・鉛・高気圧業務など | 5年 |
| 特定化学物質 | 5年(特別管理物質は30年) |
| じん肺 | 7年 |
| 電離放射線 | 30年 |
| 石綿 | 40年 |
出典:労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう|東京労働局
特殊健康診断の保存期間は改正されることがあるため、最新の扱いは所轄の労働基準監督署に相談してください。
データで保存してもよいか
必要な項目がそろっていれば、電子データでも保存できます。
注意したいのは次の2点です。
- 「医師の意見」をどう記録するか(医師に見せるための印刷や、意見を記載する方法を決めておく)
- データの書き換えを防ぐ対策をとる
個人票の管理で注意すること
健診結果は、本人の健康に関する情報です。取り扱う担当者を限定し、保管場所の施錠やアクセス制限を行いましょう。
管理のポイントは3つあります。
個人票の管理で確認すること
結果の形式をそろえ、医師の意見を回収し、5年分を保管する。この作業は、人数や健診機関が増えるほど負担になります。
どこでもクリニックでは、健診データの入力代行と、クラウドでの一元管理に対応しています。紙やExcelでの管理に限界を感じている場合は、サービスの内容をご確認ください。
個人票のよくある質問
従業員が50人未満でも作成は必要?
必要です。
50人未満の事業場に不要なのは労働基準監督署への結果報告であり、個人票の作成と保存は人数にかかわらず求められます。
派遣社員の個人票はどちらが作る?
一般健康診断は、雇用主である派遣元が実施し、個人票も派遣元が作成します。
有害業務に関する特殊健康診断は派遣先が実施します。この場合、派遣先は結果を記載した書面を作成し、派遣元に送付しなければなりません。
個人票は本人に渡すもの?
個人票は会社が保存するための記録で、本人に渡す書類ではありません。
本人には、これとは別に健康診断の結果を遅滞なく通知する義務があります。
個人票の作成や保管をデータで行いたい場合は、健康管理システムの比較と選び方も参考にしてください。
まとめ
健康診断個人票は、会社が健診結果をもとに作成し、原則5年間保存する記録です。
「医師の診断」は健診を実施した医師、「医師の意見」は産業医などが記入し、会社はその内容を確認して保存します。
様式第5号の項目がそろっていれば、健診機関の結果票でも代用できます。まずは届いた結果票に「医師の意見」欄があるかを確認しましょう。